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第33話 施工編 『建方工事 part.3』

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大工イラスト2

こんにちは。

さてさて、何とか無事に棟が上がったマイホーム。ここから竣工に向けて、さらにきっちり見守っていきたいところ。

そんな本心とは裏腹に、当時の季節は11月末、年末の竣工物件と年度末竣工に向けての着工が重なってゆき、現場監督としての業務がピークを迎えていきます…。なのでなかなか自宅現場に顔を出す事ができなくなってゆき、大工さんとは電話でやりとりし、現場は夜や休日に見に行って確認したりする日が続きました。

そんな訳で、現場写真も激減していきます。もちろん自宅だからこそですし(自分が見て確認してるからいっかぁとか…)、こういったブログにすることをその時分かっていればもうちょっとマシだったと思うのですが。

妻がホームビデオで撮った動画から画像を拝借したりと、画像の量や程度が落ちていくことをお許しください(笑)。

棟上のその後

棟が上がり、家の骨格が出来上がると、大工仕事としては筋交いを入れる、間柱を建てる、窓の開口部を作る、構造金物を施工する、外壁の構造用面材を張る、屋根の軒天や破風の下地や仕舞いをする、などなどの作業に移っていきます。構造的な仕舞いと、今後の内部造作や外壁工事、設備工事に向けての準備といったところです。

こういったタイミングまでにぼくがしなければいけなかった事は、これからの「造作」「設備」「外装」工事などを、具体的にどのように計画していて、現実にどのように納めたいのかの詳細を、各業種の方に示す事です。

例えば大工さんであれば、

平小_1F

平小_2F

これらは一応「平面詳細図」というものですが、申請用の図面にぼくがディティールを書き加えたものになります。建築確認用の申請図面は、法的な必要事項を落とし込んださっぱりしたものですが、注文住宅ですと、どこに何をどのようにしたいのかを詳しく施工する人に伝える必要があります。

もちろんそれなりの所(ハウスメーカーや意匠設計事務所、ちゃんとした工務店・ビルダーなど)にお願いすれば、打ち合わせした内容が、こういった平面図はもちろん、各部詳細図や展開図などの施工図的意味合いも持った設計図書としてできあがってくる訳ですが、ぼくのパターンの場合は、申請用図面以外は自分で作る必要があったというか、予算的な事も含め自分でやろうと決めたので、がんばらないといけないのでした。

なので、各部の詳細納まり図や設備図面、内装仕上げの詳細図なんかも、この後書いていく事となりました。

上の図面は、取り急ぎ大工さんに、このようにしたいから、これらの納まりも踏まえて、下地などを施工したり、サッシを取り付けてねというものです。もちろんサッシ等は、別の図面で細かい位置などを指示しています。

構造(躯体)検査

金物の施工など構造的な作業が終わると、その検査をします。

合板1

適当な写真がなくて申し訳ないですが、構造用面材の施工に不具合はないかとか(写真は施工中)、筋交いの位置や向きが間違ってないかとか、接合部やその金物に不備・抜けはないかとか、構造的な部分を全部確認していくわけですね。

同時にこの時点で、行政の検査も必ずあります(ウチの場合は、中間(躯体)検査と完了検査の2回)ので立ち会います。ウチのように行政の基礎検査が無い場合は、この躯体検査で、建物の配置など大きな計画要素が現実その通りになっているかも、検査官は見ておられます。もしこの時点で建物の配置などに申請との相違が発覚してしまったらアウトとしか言いようないですが、そのような最悪のケースもぼくは知っています。もっと最悪は完了検査の時とか…。

ぼくの勤めていた会社でなかったことは言っておきますが、申請と施工用で図面寸法が食い違っていたとか、図面の新旧が煩雑で混同が起こってしまったとか、現実に起こりえるんですよね。

施主だったらたまったもんじゃないですが、その場合、その時点で違法であれば一から立て直したり(ゾッとします)、現状で法的なところはクリアしていて、金銭やその他の方法で各者の合意が得られるのなら計画変更での対応となったり色々でしょうけど、絶対避けたいトラブルですね。

我が家は、行政の中間検査も無事合格しまして、第三者機構の検査も受けましたが、自分がこの職業だった以上、自分の目で確認することがすべてでしたけれども。

防蟻処理工事(立ち上がり)

構造部ができあがると、サッシを取り付ける前に外壁部分などの防腐・防蟻処理を行います。

先ほどの上の外壁部の写真を見ていただくとわかるのですが、オレンジ色に着色されているのが現場で薬剤処理された部分です。

我が家の場合では、「土壌」「床下」に続きこれが3回目で、最終となります。前にもお伝えしましたが、これらの処理回数や処理範囲・薬品などの仕様は、業者やその保証内容によって異なります。要は、どのような保証内容や保証年数を得るために、どのような施工手順や仕様が必要で、それぞれ費用がいくらなのか、こういった違いが業者によってあるわけで、どうするかは自由です。ただ最低でも、『構造体力上主要な部分である柱・筋交いおよび土台のうち、1メートル以内の部分には、有効な防腐措置を構ずるとともに、必要に応じて白蟻その他の虫による害を防ぐための措置を構じなければならない』というなかなか不明瞭な基準も建築基準法にはありますし、旧住宅金融公庫などの法以外での一般常識的なガイドラインも存在します。

上棟のお札

我が家は「上棟式」は行いませんでした。神主さんに来てもらうレベルの本式の上棟式は最近では少ないと思いますが、関係者のみで簡易に行ったり、祝詞をあげたりあげなっかたり、業務上では式自体しないパターンが一番多かったですけど色々ですよね、何が正解というわけではありません。

上棟式は本来、棟が無事上がった事を祝い、その後の安全を祈願したりするものでありますが、同時に施主さんと大工さんの顔合わせというか、お互いの挨拶といった意味合いもあるので、そういう部分ではぼく的には馴染みの大工さんでしたので必要ありませんでしたし、気持ち的に渡している祝儀等で十分と思っていましたので式まではしませんでした。

祝儀については前にもどこかで書きましたが、賛否両論でしょうし、本当にどちらでもよいと思います。もし渡そうか渡すまいか迷っている方がいるとすれば、渡して損な事はないでしょうけれど、その分の見返りがあるかという現実的な問いに対しては無いと思いますし、そんな事よりも重要なのは信頼関係というか、人どうしの気持ちの問題ではないかなと思います。

もちろん地域性もありますし、祝儀をもらって嬉しくない大工さんはまずいないと思いますが、もらって当たり前とか、もらえなかったったから頑張らないなどと考える大工さんは現代ではごく少数でしょう。それ以前に依頼された仕事はプロとしてきちんとこなして当たり前というプライドを持っている職人さんが大半だと思います。少なくともぼくが付き合いのあった大工さんは皆そうでした。というかそれがプロというものです。

ですがそういった観点とは別に、住宅が車などの工業製品と違うのは、工業化が進んでいるとはいえ、(プレファブ系などを除いたとしても)住宅建築現場は手作りな部分がほとんどだという事です。どんなにきっちりとした図面があれど、現場では機械ではなく人間が、あれこれ考えながら作っているのです。そして注文住宅であればなおさら、世界で1つしかないカスタムメイドな訳です。

仮に「建築費という対価を支払うのだから、何を言わずとも、請負人は要求されたものを黙ってきっちり提供すればよい」という消費者としての意見があったとすれば、それはまさに正論です。でも極端な話、逆に作り手としては「要求されたものは図面通りきっちり完成させて提供を約束します。ですので、正確な仕事に支障をきたさないためにも、できたら現場には来ないでもらいたいのです」と、もちろんそんな事を実際に口にする人はいないでしょうけど、内心そんな悲しい心理にもつながってしまうかもしれません。そのような気持ちで作られた家って、本当に良い家って呼べるのでしょうか?バッチリ問題なく仕上がっていればそれでいいのかもしれませんし、価値観は人それぞれなので一概には何とも言えません。

ただ個人的には、完成された商品としての建売住宅とかであれば、問題無ければそれでいいのかもしれませんが、せっかくの注文住宅だったとしたらそのような心理関係だと寂しいというか、何というかもったいない気がします。

住宅建築は、依頼者が作り手に物づくり(技術やセンス)を依頼しているという、ある種芸術的な分野の側面も持っています。そこに依頼主と作り手、これは別に大工さんがどうとかに限らず、営業や設計さんや工事担当者も含め、その住まいに関わる人全般に、良い関係性があれば、より良いアイデアが生まれ、当たり前以上の家作りができる可能性や、何よりいっそうの楽しさが生まれてくるのではないかなと思っています。

まぁ、そういった関係性を築けるよう努力するのも作り手側の仕事だと思いますし、当然のことながら、ぼくのような工事担当者はもちろん、大工さん筆頭に現場の職方さん達もそういった意識を持ちながら仕事をすることも今後いっそう必要なのではと思います。何といってもお客様ありきの商売ですから(笑)。

住宅という建築は商品かもしれませんが、そこには住み手と作り手の心が通っていてほしい。だってそこでずっとずっと暮らすんですよ。

そんなふうな事を、業界に身を置いた人間として、建築に興味をもった人間として経験上感じましたし、何かが失われたこの現代においても、そうあってほしいと願っています。

またもや大それた勝手な持論で本題から脱線しました…、上棟や祝儀と全然関係ないですね、いつもながらすみません!

上棟札

で、これはお札です! 上棟用のお札です。

下のお札は最寄の神社さんのもので、地鎮祭をした時にもらったものです。神社さんで地鎮祭をしていれば大体このお札を上棟時に奉ることになるかと思います。地鎮祭をしていなくてもお札単品で購入することができる神社さんも多いです。

上のお札は、(故)祖母が通っていた宗派のお寺でわざわざ作ってきてくれたものです。ぼくは関心ありませんでしたが、ありがたく奉らせてもらっています。何て書いてるか読めませんけど名前とか書いてたらアレなのでぼかし処理してます。ありがとうね、おばあちゃん!今のところ平穏に暮らしてます!

地域にもよりますが、お札は大体 東向きや南向きに面して取り付けます。ウチは東向き。本来は「棟束」という棟木を支えている小屋束の中で真ん中に建っているものに付けますが、最近は家のデザインや工法も様々ですので、一番それっぽい所でいいのではないでしょうか。棟木や小屋束自体が存在しない家もありますしね。ただ方角は間違わないようにして。

ウチも片流れ屋根の頂点の母屋を棟木ということにして、その小壁の束に貼り付けています。

あと、ウチではしていないので写真載せれないですけど、上棟時に奉る可能性のあるものとして「御幣」というのがあります。加工された木材に扇などの飾り物を付けた物です。これは施工者が施主に対して上棟をお祝いするもので、自社の注文住宅の場合は必ず、下請けの場合もよく依頼されて製作・お奉りさせていただきました。上棟式の際などに、「奉上棟」などと書いた木材部分に、現場で施主さんにお名前を自筆(毛筆で)で記入していただくことが多かったです。奉る場所は小屋裏の、先ほどのお札と同様です。同時にお札がある場合(このパターンが多いと思いますが)は、お札を御幣の木材部にセットして一体でお奉りします。

御幣は、しょっちゅう見すぎていたせいか、自宅では用意しませんでした(笑)。

今回はこのへんで終わりにさせていただきます。

長々読んでいただきありがとうございました!また次回に!