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第25話 計画・仕様編 『外観プラン決定』

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家模型画像

こんにちは。

一時的に業務に追われ、更新が滞ってしまいました。申し訳ありません…。

さて今回は、決定した建物プランにおける、「外観」について、その仕様と共にご紹介させていただきます。

外観パース

↓南側から見たところ

外観パース2

↓西側から見たところ

外観パース1

↓立面としてはこんな感じ。

立面-南西

立面-北東

概要

外構などは当時の仮プランのもので、テラスのオーニング等は現在も付いていません(笑)。

東側に軒を持つ大きな片流れ屋根と、正面(西)側にパラペットというてっぺんが水平の四角い壁で囲われた(グレーの壁の部分)屋根を組み合わせた建物形状です。

このパラペット部分の中に、前回ご紹介した、タタミコーナーからの小さなバルコニーがあり、パラペットで見えない小さな屋根が存在します。

外観計画について考えた事

我が家の計画とは全く相反することを言いますが、現場監督であった立場も含めて、屋根の「軒の出」や「ケラバ(軒ではない屋根の最端部分)の出」は、日本という風土において、絶対にあった方が良い、しかも大きいほうが良いと断言できます。

それは「軒の出」が、その付近から建物への雨水浸入リスクを抑える、そして何より建物(外壁)を雨から守るという役割があるからです。もちろん計画によっては、日差しを遮るといった役割もあります。

特に近年、ゲリラ豪雨や台風なども、過去からは予測できない規模のものも増えている中、屋根形状を無難なものにする事は、雨漏れ対策として大きなリスク軽減の1つです。もちろん、然るべき施工がなされての事ですが。同時に先述の、雨水による外壁の劣化や汚れを低減できるというメリットもあります。

そして、屋根の形状についても、上記のような観点から言えば、「切り妻」でもなく、「片流れ」でもなく、建物の外周面すべてが軒となる「寄棟(よせむね)」がベストだと思います。意匠的にもぼくは、軒が深くデザインされた、特に平屋のような建築が一番スタイリッシュだと感じます。

ではなぜ我が家はそのようにしなかったのか…?

冒頭のパースをご覧いただくとお分かりのように、我が家の屋根は、東側の軒面に30cm程度の軒の出がある以外、周囲から見える部分はケラバ・片流れの頂部(棟)ともに「出」が全くありません。施工的に言うと、「軒ゼロ納まり」というやつです。

なぜあえてこうしたかという一番の理由は、敷地に余裕が無かったからです。余裕が無いといっても、ちょっとした軒の出は作ることができました。ですがこれはもうホントに主観的な趣味趣向によるもので、10cmや20cmの軒の出になるんだったら、むしろ無いほうがスッキリするという理由もありました。ぼくも含め、こういったデザインを好む人は、近代的なシンプルな建築に憧れがあるのだろうと思いますが、反面、日本に住まう限り、先述のような性能的なリスクを少なからず背負うことになります。日本の住宅建築に当たり前にあったものを無くすというのはそういう事なのです。

ここまでリスクうんぬん述べておいて、自ら実践するのはバカげていると思われそうですが、そこは逆に現場監督魂が燃える所で、そのリスクを最小限にできるよう、施工時にはかなり神経使いました(笑)。特に片流れ屋根の頂部などは、絶好の雨漏れスポットなので気を付けました。もうそれ以外はどうでもいいぐらいに思ってました。住宅建築で最も防ぐべき2大欠陥要素は「構造」と「雨漏れ」です。

竣工後3年以上、今の所問題はありません。ですがこの先まだまだ分かりません。あの手この手で家の中に入ってこようとするのが「雨」なんです。その脅威は現場監督として身にしみています。一般の方と違って、我が家の施工管理責任者はぼくなので、実際今でもビクビクしています(笑)。

ちなみに、雨から外壁を守るといった意味では、軒の出はあった方が良いというのは実感しています。もちろん覚悟あっての事ですが、とくに我が家の外壁は白色が多いので、やはり汚れも目立ってきます。仮に10cmや20cmの軒の出でどこまで成果があったのかははっきり分かりませんが、無いよりは有ったほうが良いのは確かでしょうね。

あとこれに関連して、軒の出の無い2Fの外壁面の窓には、小さな庇を付ける計画としました。これも軒の出が無い場合の、雨対策ですね。

さて、次に、外装関係の仕様についてご紹介したいと思います。

外装材の仕様

・屋根

我が家の屋根葺き材は「ガルバリウム鋼板」です。(色:ブラック)

立平(たてひら)という工法で、0.4㎜の厚みです。

カラーベスト(コロニアル)や瓦、その他屋根材にもいろいろありますけども、「ガルバリウム鋼板」を選んだ理由は、

・見た目が軽い

先ほどのお話のように、軒の出のないシンプルさを求めた外観に対して、瓦系の素材だと見た目に重いというか、外観的にあまり目立たないものをという理由で選びました。まぁ、パース図のように周囲からはほとんど屋根面が見えない構造なのですが、少なからず見える部分についてもスッキリとした外観にしたかったからです。

・実際に軽い

これについては安全側で構造計算しているので、それ以外の素材でもよかったのですが、軽い(建物への荷重が小さい)に越したことはないかなと思いました。

余談ですが、軽いといっても屋根の勾配方向の長さ(家によっては10mとか)が1枚で必要となる材料です。その縦長の鋼板を、横(屋根の幅方向)にジョイントしていくわけです。ですので、施工的にはその搬入や荷揚げに苦労する場面も多々あります。我が家の施工でも、大きな鋼板を持った屋根屋さんが、屋根上で風にあおられて大変そうでした。

・耐久性がある

これはあまり理由にはしていません。確かにその分、高価ではありましたが、所詮はペラペラの鉄板です。何かの理由で、錆びて穴が開かないとも限りません。よくメンテナンスフリーとか謳われますがそんな事はありません。完璧な素材など存在しませんから…。

反面デメリットもあります。

・断熱性が無い

ペラペラの鉄板ですので当然です。これに比べると、スレート等はまだ厚みがある分マシでしょう。体験談としては、ウチの家は小屋裏空間を通気し、2F天井面で断熱していますが、「ガルバリウム鋼板」だからといって、特に暑い(寒い)と思ったことはありません。これが小屋裏を居室として一体に使う場合はしっかりとした断熱対策が必要でしょうし、断熱の性能によっても違いがあるでしょう。

・雨音がうるさい

安易に想像できるので覚悟していましたが、案外そうでもありませんでした。もちろん多少聴こえますし、個人差もあるでしょうけども、ぼくとしては、それで雨が降ってると分かるほうがしっくりくるというか、生活感があるというか。たまに「雨音で眠れない」とかいう話も聞きますが、そこまででは全然ないです。もちろん人によるでしょうし、上記の断熱等の影響も関係しているのだと思いますが。

ちなみに、屋根の「下葺き材(雨水対策等の目的で仕上げ材の下に施工する素材)」としては、アスファルトルーフィング、その上に遮熱シートを貼っています。

・外壁

再度パース図を貼っておきます。

外観パース2

大きく分けて2つの仕上げ工法を複合させています。

①乾式、 ウッドサイディング

パースで木目調になっている部分がそれです。

現在は廃盤になっているのであえてメーカー名は挙げませんが、専用の金属サイディング(プレート)を施工し、さらにその上に専用の木板を止め付けていくことで、防火認定を取得している商品がありました(高かったですし、あまり需要が無かったのでしょう)。木の種類はヒノキです。木板を事前に現場塗装し、施工していくというやり方です。

外壁に本物の木を使いたかったのは、ぼくのアアルトへの憧れが強いと思います。

過去記事参照↓

第9話 計画編 『好きな建築』

あと、外壁に木を使うというのは、法的(防火)にちょっと面倒くさかったりします。

外壁に木を貼る方法は他にも、防水シートの上に胴縁を打ってその上に防火認定品の木板を施工(雨が心配だったり)、湿式モルタル施工の上に胴縁を打ってその上に木板を施工(精度が心配だったり)など色々あります。これらの扱いは地域や所轄の行政により異なりますので、それぞれ確認が必要です。

そんな中で我が家で採用した工法は、下地と一体で防火認定品で楽チンだったのと、下地にプレートと呼ばれる金属サイディングを施工し、そこで一旦完全に防水してしまうため、雨じまい的にも問題なさそうでしたので選ぶ事にしました。あまり出回ってない商品だったため、施工費含め高くついてしまいましたが…。

一応その後のメンテナンスを考え、木板を貼る範囲は脚立に登って塗装できる高さの部分に限定しました。

②湿式、 モルタル通気工法のうえ、塗装

白とグレーの外壁部分がそうです。

こちらは現在もあるみたいですね。モルタルは富士川建材の「ラスモルⅡノンクラック通気工法」というものです。住宅の外壁材としてはサイディングが主流ですが、モルタル・塗装仕上げにしたいというのは前から決めていました。なぜでしょう…。はっきりとは言えませんが、人が現場で仕上げた感があるからでしょうか。別にサイディングがそうじゃない訳でもないですし、がんばって職人さんが貼ってる訳なんですけど。あらかじめデザインされたものを貼っていくのではなくて、その左官屋さんだったりペンキ屋さんだっりの味や癖がそのまま出やすいのが塗り壁のほうだと思ったからですかね。

さておき、モルタルは「通気工法」にしています。これは、構造などの下地に防水シートを貼り、その上に胴縁(および補助胴縁)を施工し、さらに通気ラスと呼ばれる、シートと金網が一体となった二次防水機能もあるシートを貼ります。そこにモルタルを施工するというものです。

この工法を選んだ理由は大きく2つです。ちなみにこういった建築に対する考え方は関係者であっても様々ですし、100%の正解がない世界でもありますので、あくまで個人の主観として捉えてくださいね。

1つは「防水」です。外壁のモルタル工法で最も多いのは、防水シートやフェルトの上にラスと呼ばれる金網を打ち付け、そこにモルタルを塗り付け、一定期間乾燥させ塗装なりの仕上げを施す方法です。で、塗装表面は経年やモルタルの収縮などで細いクラックでも入るとそこから雨水が浸入します。または劣化していなくても、毛細管現象などで少なからずどこかしらから浸入する可能性は高いとぼくは思います。(もちろん塗装の品質やグレードにもよるでしょうけども)

そしてモルタルは吸水するので水分はモルタルの裏側へ回ります。そこにあるのが防水シートなので、それが正しく施工されていれば、それより内側へは水は回らないだろうという考え方が、一般的なモルタル工法の中には少なからずあるように思います。サイディングにしても同様で、コーキング等が劣化して雨水が浸入しても、ひとまずは防水シートがあるので安心です。ですがサイディングと先述のモルタルの違いは、サイディングには通気層があり、表面から浸入した雨水は、その通気層をたれ落ちて外部へ出て行くという事です。

モルタルの場合は、モルタルが防水シートとラスを挟んで密着した状態にあり、雨水の逃げ道が無いのです。水はその狭い空間の中で、行き場を探して移動していきます。下方向だけでなく横にも流れていきます。そして防水シートが正しく施工されていたとしても、ラスを止め付けているタッカーという大きなホッチキスの針のようなものが、シートには無数に刺さっています。行き場のない水はそういった部分へ浸透していくわけです。

経験上このような例はいくつも見ました。雨水の最終的な建物内部への浸入経路はサッシ廻りが多いので、それを防ぐ手段はいくつかあります。けれどそれは「建物内部への浸入」であって、根本的に外壁表面からモルタル内部まで雨水が浸み込んでくるという可能性を根絶できるものではありません。

室内に影響が出ていないだけで、外壁の下地の合板などが湿っている住宅はたくさんあるんじゃないかとぼくは思います。

大事なのは、雨水が入らない事もそうなんですが、それが100%ではない以上、「入った時にその逃げ道がある事」だと考えています。

そんな訳で「通気工法」です。

…ついついマニアックになってしまいます。すみません……。

次いきます!

2つ目はそのまま、「通気対策」です。

「通気層」が無いと、建物壁内の湿気を外部に逃がす事ができません。

そのために外壁の構造用面材は、透湿性のある「ダイライト」にしました。

いろいろ書きましたが、モルタルの通気工法にするのあたって、メリットだけではありません。当然デメリットもあります。

まず高い。通常のモルタルに比べて、それなりの材料と手間がかかるので当たり前です。「どうしてもモルタル! で、どうしても通気工法!」という人だけが選ぶ選択肢です。

あと、モルタルを、後ろが通気層になっているシート部分に施工しているので、多分誰もそんなことしないでしょうけど、パンチとかしたらボコッて穴空く??まぁ、揺れに対してとかそういう基本的な強度はある程度設計されてるんでしょうけど。

最後に塗装ですが、アイカの「ジョリパット」というシリーズです。塗装の際、専用のツールで規定のテクスチュアを模様付けしていくというものです。

白とグレーの部分で、パターンを変える計画です。

これにした理由は、先ほどの「ラスモルⅡノンクラック通気工法」の仕上げ材として指定されていたからです。

ちなみに、最初のほうでお話した、外壁の汚れや白い外壁だということもあったので、少しだけ低汚染タイプのものを選びました。トップコートとかまではしていません。上を見ればキリがありませんので…(笑)

長くなりましたので今回はこのへんで…。

あ、パラペット部分の木製ルーバー(格子)の事もあったのですが、またどこかの機会でご紹介いたします。

読んでいただき、ありがとうございました!!