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第18話 仕様編 『構造』

構造計算書

こんにちは。

これから進めていく「仕様編」の内容としましては、我が家が決めた細かい仕様を書き連ねても、誰にもメリットは無いですし、いくつかの内容をピックアップしたものと、その理由だけを記しておこうと思います。あと仕様は、計画や工事の流れの中で決めていった部分が大きいので、一応実際の時系列に沿って「計画編」や「施工編」と交えながら、都度投稿していこうと思います。

今回はその第一段として、「構造」についてです。

我が家の構造の仕様については、大きく以下の要素を考えました。

地盤

建物の仕様ではないですが、「地盤」がしっかりしていないと、どんなに強い建物も台無しです。近年は、住宅品確法で住宅を新築する業者にも、地盤について10年の瑕疵担保義務がありますし、マンションの杭工事の欠陥などの大きなニュースもありました。

地盤については、仕様うんぬんというより、調査を行って、その結果と建物の設計に基づいて的確な処置を施すことがすべてです。処置については住宅でも、地盤の状況やその他条件に応じて「表層改良」「柱状改良」「鋼管杭改良」、そのほか最新の工法など、いくつも改良方法がありますが、地盤に問題なければ改良の必要はありません。

地盤改良工事は、別途費用のかかるものですし、我が家もできるなら無いほうが助かるなぁという感じでしたが、地域的なことを考えても、たぶん地盤は軟弱なほうだろうなと思っていました。そして、建物の計画が固まり、基礎の仕様(許容地耐力kN/㎡など)を決めた上で、実際の建物が建つ部分に、地盤調査を行いました。スウェーデンサウンディング方式という試験方法です。

結果、「改良工事は必要なし」という判定が出ました。これは求める数値上の結論なので、本当に「不要」なのかは心理的なものも含めて各施主さんが判断すればよいのですが、ぼくの場合は、そこまで細かい事も分かりませんし、調査結果を信じるしかありません。なので調査報告書を見て、判定が微妙なラインではなく、いくらか余裕があるなと感じましたので、「不要」と判断したまでです。

そんなこんなで、この出費を抑えれたのは幸いでした。

基礎

上部の構造と同様に重要なのがこの「基礎」です。

我が家の基礎は、「ベタ基礎」で、難しい事を書くと「コンクリート設計基準強度21N/㎜2の、許容地耐力(長期)30kN/㎡以上」という仕様です。

断面としてはこんな感じ。

基礎断面図

普通といえば普通で、ぼくが普段よく見ていた基礎断面のうちの1つです。構造計算や地盤調査の結果に基づいて設計されています。構造計算については下記の項でも言いますが、法を守っている以外に「何が正解か」とか、「どこまでしたら安全か」とかは誰にも分かりません。強くしようと思えば際限なくできますが、その分費用はかかります。あと、住宅のような小さな建築物では、図面上でいくら太い鉄筋がいっぱい入っていて強度を計算していても、実際の現場では、それがその部分に納まりきらず(コンクリートが鉄筋の間に入っていかないとか)、施工不良につながり逆効果になっているケースもよく見てきました。

なので、ぼくの場合は、基礎は大事な部分なのでムダに費用を省くことは避けましたが、かといって予算的にも施工的にも過剰にならない程度、という考えでした。とはいっても構造計算してる以上、設計的な内容に口をはさむことはしませんでした。深基礎などの現場の納まりに関わる事は、ぼくが検討して反映してもらった程度です。

「ベタ基礎」と書きましたが、そのほうが良いという訳でもありません。住宅には「ベタ基礎」「布基礎」とかありますが、要はいずれにしても、それぞれちゃんと建物の理にかなった設計になっていればそれが最適な訳です。ハウスメーカーさんとかは、独自に設計開発した仕様の「布基礎」とかで、かつローコスト化している所も多いです。(それが良いとも言いませんが…。)

それと特に基礎では、設計と同様に大事なのが、「施工」です(もちろん他の部位もそうですが)。現場監督としては、いくら我が家でも、どんなに忙しくても、これら構造部分についてはちゃんと施工管理しようと思ってましたね。

木構造部

そしてその基礎の上に乗るのがこの木構造部分です。

重要なのは「構造の仕組み」と、それを構成する「材料」です。

まず、

・構造の仕組み

我が家の工法について

最初にこれをお伝えしておきたいと思います。

我が家は「木造軸組工法=在来工法」です(以下「在来工法」と呼びます)。そしてぼくが勤めていた工務店は「木造枠組壁工法」を主に扱っていました。「木造枠組壁工法」とは「ツーバイフォー工法」の事です。在来工法も施工していましたが、その割合はツーバイフォー工法の1/100もなかったと思います。つまりぼくが普段施工管理していた住宅の大半は、ツーバイフォー工法だったのです。

ツーバイフォー工法は、「モノコック構造」といって壁や床の各面が構成する立方体によって、建物を支える工法で、地震に強いとか言われます。

ではなぜ我が家は、専門的に携わっていたツーバイフォー工法にしなかったのか。誤解を招くので深くは言及しませんが、おおよそ以下の理由です。

・当時の工務店より前、不動産屋時代から見てきた、つまり経験上 最初に触れてきた建物が「在来工法」だった。工務店でも何度も経験したので、自宅を管理するのに経験不足だとは思わなかった。

・それまで多少建築を学んだ中で、「在来工法」は日本古来からの伝統的な工法だというイメージがあった。

・地震に強いかどうかは、どんな工法であっても、建物に合った的確な設計がなされていれば、一定の基準は満たせると考えていたし、構造計算することが前提にあった。

・「在来工法」で、主に集成材を使ったプレカット工法の場合は、材寸や仕上がりの誤差を少なくできる。対して「ツーバイフォー工法」は、主にSPFという無垢材を多用するため、材寸にバラつきがあり、壁や床の通り(直線)が出にくい。

・これが一番大きな理由です。ウチの現場環境は前面や周囲の道路が狭く、敷地にも余裕がない。なので、建物の骨組みを完成させるのに、大きな搬入や吊り荷作業はできるだけ短い期間で終えたかった。「在来工法」なら詰めれば2日で棟は上がる。それに比べて「ツーバイフォー工法」は、壁材や窓や建具の開口まで含めて、1階から順番に組み立てていくので、どうしても日にちがかかって、搬入作業のある日数が増える。(パネル化した壁や床をレッカーでどんどん組み立てる方法もありますが、作業規模が大きく、ウチの現場環境では対応できなかった。)

このような感じでしょうか。完全なる主観と条件によるものです。木造だけでも工法はほかに、SE構法や木質パネル工法など、いろいろあります。どんな工法にも、長所・短所があり、それぞれにどこまでの強度も持たせるのかも設計次第です。どの工法が強いということはありません。長所・短所を理解した上で、求める条件や予算に応じて選ぶことが大切です。

構造計算について

前にも少し書いたのですが、我が家は「耐震等級2」となるように構造計算しています。

木造2階建ての大半は、構造計算は法律上義務ではありません。なぜあえてしたのかというと、

・自分の考えた間取りだったから(笑)

情けないですが、ぼくは施工のプロであっても、設計のプロではありませんでした。ですので、骨組みやバランスを意識しながら間取りを考えてはいるものの、やはり心配なので構造のプロの力に頼りたかったんです。

1からプロに考えてもらっていれば、構造計算まではしてなかったかもしれません。

・いろんな角度から構造を判定してもらいたかった。

これも先述のことが大きな理由です。木造2階建は、建築基準法の中の「壁量計算」という簡易な計算結果を満たすことで建築確認が下ります。これはぼくでもできるような計算で、各部の耐力壁の量やそのバランス、あとは風力に対する建物の見付面積を確認したりすることで、建築基準法上の基準を満たしているかをを算定するものです。

この建築基準法を満たした最低基準を、「耐震等級」という言葉で表すと「耐震等級1」という事になります。

ですが、構造計算した上で確認された「耐震等級1」は、同じ言葉でもその内容が違います。構造計算は、先ほどの「壁量計算」に比べて、もっと色々な角度から建物の強度を判定します。細かくは書き切れませんが、地域や建物の特性から地震力や風圧力を算定したり、耐力壁や水平構面、重心と剛心、各部材やその接合部の強度、積載荷重の考慮など、様々な観点においてその判定がOKとなるように設計するものです。

もちろん「壁量計算」のみを満たしている建物を「構造計算」してみて、その他の項目をすべてクリアしている場合もあるかもしれません。ただ、我が家の場合はやはり、自分の間取りに不安という心残りがあってもイヤだったので、構造計算してもらい、最低基準の1.25倍となる「耐震等級2」になるよう設計してもらった次第です。

これらについては考え方は色々でしょうし、等級3でも弱いと考える人もいれば、最低基準=等級1でも充分だという人もいるかもしれません。そもそも「耐震」という考え方は、建物をガチガチに固めていくことで、「制振」や「免震」とは全く異なります。我が家の場合、予算事情もありますので「制振」や「免震」にまで視野を拡げることができなかったということです。

・材料

木構造部にどんな木材を使うかによって、建物の強度や特性は変わります。

構造計算の場合は、どの部位にいくらの強度を持った木材を使うかという設定をした上で、各部やその接合部の強度を判定していきます。屋根の垂木の計算までしたりします。

我が家の構造木材の仕様はというと(等級や材寸は省きますが)、

・土台、大引:ヒノキ乾燥材

・柱:ホワイトウッド集成材

・梁、桁:米松乾燥材、レッドウッド集成材

・小屋材、筋違:米松乾燥材など

・床張り材:構造用合板 ネダレス工法

・構造用面材:ダイライト

(各材プレカット工法、構造金物補強)

ざくっとこんな感じです。いたって普通だったと思います。どんな材種が強いとかもありますが、それよりも、この材種で構造計算を成り立たせているので、それで十分だったという感じです。もちろん、使用部位による使い分けは考えましたし、めり込み等が気になる箇所は金物で補強するなどしました。

しいて挙げるなら、壁の構造用面材に、構造用合板ではなくダイライトを使ったことぐらいでしょうか。理由は、我が家の外壁が、湿式(モルタル)の通気工法だったため、壁内の湿気を外に逃がすための透湿性を面材に求めていたからです。構造用合板にはこれがなかったのです。

あとは、ヒノキやスギ等の無垢材も良かったのですが、化粧梁(柱)などのある意匠でもなかったですし、特にそういう趣旨の家でもなかったのでしませんでした。我が家がしょっちゅう遊びに行く、妹家族のお宅がそういうお家だったので、それで十分だったんです。

さて、とても長くなったので、構造の仕様はこのへんで終わらせていただきます。

次回は、「断熱」などの仕様についてお伝えできればと思います。

ご拝読ありがとうございました!